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人道舎

人生が死ぬまでの暇潰しというなら、ゲームこそが人の道である

TRPGの面白さってなんぞや(後編)

前回TRPGの自由度は案外高くないよ、といった話をしました。

では、自由度幻想というものが崩れ去った今、TRPGの面白さはどこにあるのだろうと考えてみます。

 

私がプレイしているソードワールド2.0の世界観は基本的に中世ファンタジーです。

とはいえ、やや近未来的なギミックの存在を許していたり、かなり懐の深い世界観になるようデザインされています。

そんな中、プレイヤーたちは主に酒場に集う「冒険者」と呼ばれる存在となり、遺跡の探索やクエストの攻略などに勤しむことになります。

 

ところで、これと似たような枠組みの世界観のゲームは他にもあります。

MMORPG、いわゆるネトゲというやつです。

複数のプレイヤーが集まってギルドを結成し、クエストをこなしたりレアアイテムを狙って強敵に挑んだりします。

もともとドラゴンクエストに代表されるCRPGは、TRPGをゲーム機の上で実現したいというモチベーションから始まったものであり、その一つの完成形であるMMORPGTRPGの世界観が似通うのはある種必然です。実際、国産RPGの先駆けであるドラクエシリーズも10はMMOですしね。

 

しかし、CRPGはパソコンのスペックをフルに活用して大きな進化を遂げています。

膨大な広さのフィールドにド派手な戦闘シーン、プレイヤーキャラクターもかわいいグラフィックできれいに表現されています。会話を盛り上げるパーティグッズも豊富です。そして、膨大なパラメーターやアイテム、自由度の高いスキル育成も考え抜かれたユーザーインターフェースで楽々管理できます。

CRPGTRPGの掲げた理想を最高の形で実現するため、日々進化を遂げているのです。

それに比べると、TRPGは未だに紙とペン。せいぜい、スマホアプリを使った計算ツールがあったりする程度です。*1

 

では、いまだにCRPGにできなくてTRPGでしか味わえない興奮とは何でしょうか。

ここを疎かにしてしまえば、TRPGは「劣化MMO」となってしまいます。

私自身、TRPGに対して「劣化MMO」という感想が拭えず、どういうプレイングをすべきか、どういうゲーム設計をすべきか考えてきました。

 

まだるっこしいのは苦手なので結論を言ってしまいます。2つあります。

 

まずは「プレイヤーと操作キャラクターの一体感」です。

CRPGはコントローラーやキーボードを通じてアイコンを操作します。つまり、キャラクターとプレイヤーの間にどうしてもワンクッション差が生まれるのです。*2

しかし、TRPGでは自分の体でキャラクターを表現します。もちろんルックスの再現度はゼロかもしれませんが、途中で鏡を見るわけではないので問題になりません。まさに自分自身の体が物語世界の一員として動くのです。この没入感は現状、他のゲームでは体験できない興奮でしょう。*3

 

もう一つは「会話劇主体のダイナミックなストーリー展開」です。

通常のRPGではNPCのセリフは全てプログラムされたものです。それに対して行えるアプローチはせいぜい選択肢を選ぶことぐらいになります。

しかし、TRPGにおけるNPCは全てゲームマスターが担います。アドリブもなんのそのです。このNPCはそれまでの会話で生じた内輪ネタを丁寧に拾ってきて笑いに変えることすらできます。

MMOでも、プレイヤー同士の会話に関しては、非常に豊かなものが実現できます。しかし、クエストでは決められたテキストを読むだけであり、プレイヤーとメインストーリーの潮流には乖離があります。

この壁を取り払うことができるのは、現状ではTRPGだけなのではないでしょうか。

 

以上が、私が暫定的に定めたTRPGのゲームとしての魅力です。

2つをまとめると、「メインストーリーに対する没入感」でしょうか。

TRPGでは、シナリオに登場する様々なキャラクターと会話することが可能で、その活力にあふれる会話劇からストーリーにのめり込むことができます。あたかも、自分が映画の中の登場人物であるかのように振る舞えるのです。まさにロールプレイングの一つの理想形ですね。

逆を言えば、この特性を殺すようなセッションを設計してしまうと、「劣化MMO」になると思っています。

では、これらの個性を最大限に活かすようなシナリオ設計はどのようなものか。そんな一般論を今後あれこれと考えていきたいと思います。

ということで今回の記事はここまで!

 

 

こぼれ話

 

ちなみに、一人用のCRPGでも似たような問題が存在します。一人用のRPGでは、大きく分けて「主人公=あなた」タイプ(ドラクエ、ペルソナなど)と「明確な主人公が存在」タイプ(FF、テイルズなど)に分かれます。

ドラクエタイプは「プレイヤーと操作キャラクターの一体感」を重視しています。結果として、ストーリーの上では傍観者になりがちです。一方でFFタイプでは主人公への感情移入がしやすく、また主人公を中心にストーリーを展開できるためストーリーへの没入感は高いのですが、プレイヤーと主人公の距離は遠くなります。

このように、一人用ゲームでも上記2つの体験を同時にクリアすることは難しく、「ストーリーに対する没入感」という点では、TRPGが最も優れていると思われます。

ポケモン不思議のダンジョン」などその問題を極めてうまく回避したシリーズもありますが、さすがにこれ以上は別のお話なので、今度こそここまで!

*1:このTRPGユーザーインターフェースに対する意識の低さも私は問題だと思っているのですが、この話はまたいずれ

*2:アナログゲームアンドールの伝説という、RPG風の協力型ボードゲームがありますが、あちらもコマをキャラクターに見立てて動かすという点でCRPGに近いです

*3:今後、ヴァーチャルリアリティ技術がこの壁を超えてくることを密かに期待しております